概要4 ポテンシャル局面と反応ダイナミクス

気相分子の反応は一定のエネルギーを持った粒子同士の衝突によって起こり、微視的には高速に運動する電子運動が定めるポテンシャルエネルギー曲面上での核の運動と考えることができます。

ゴルフボールの軌跡

この描像(Born-Oppenheimer近似)では、化学反応はグリーンの上を転がるゴルフボールの軌跡のように理解することができます。ただし、時には1枚のグリーンのスロープではなく、何枚ものスロープの重なり(複数のポテンシャル曲面)を渡り歩くような軌跡をも考えねばなりません。

溶液中の化学反応では、常に周りの分子との衝突(相互作用)による環境の変化やエネルギー変化を無視することができません。エネルギーの交換すら起こる状況では、化学反応は疾風怒濤の海を旅する船のような状況を想像しなければなりません。

荒波の画像

このような揺らぎの大きな系の化学反応を詳細に理解することは、ゴルフボールの軌跡やポテンシャル曲面上の量子波束の運動を理解することの基礎の上に立つ、重要な研究対象と言えます。気相の化学反応の確固たる理解の上に、このような反応系を理解し生命科学の素過程までの理解を構築することは現在の化学ダイナミクス研究の重要な使命です。

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