更新:2007.10.17
無機化学I 担当 吉村一良
講義内容
化学の基本となる“周期表”を中心に,元素の性質(電子状態,原子およびイオンの大きさ,イオン化エネルギー,電子親和力,電気陰性度など)を述べる.また,簡単な分子および結晶の構造と化学結合を説明する.水および非水溶媒中における簡単な無機反応を取り上げ,その平衡および酸化・還元,酸・塩基などについても講述する.
講義予定
		1 原子の構造
  1.1 はじめに
  1.2 水素の原子スペクトルの古典的説明
  1.3 量子力学序論
   1.3.1 ド・ブロイの関係
   1.3.2 不確定性原理
   1.3.3 シュレディンガー方程式―一次元の箱の中の粒子―
  1.4 水素類似原子の電子構造
   1.4.1 シュレディンガー方程式の解
   1.4.2 水素原子の電子構造
   1.4.3 運動量のベクトル模型と磁気モーメント
  1.5 多電子原子の電子状態と周期表
   1.5.1 多電子原子のエネルギーレベル
   1.5.2 角運動量の合成
   1.5.3 フント結合とJJ結合
   1.5.4 磁性イオンとフント則
   1.5.5 交換相互作用
   1.5.6 フント結合と結晶場分裂 -Low Spin State vs High Spin State -
   1.5.7 結晶場と軌道角運動量の消失

2 元素の一般的性質と周期律
  2.1 有効核電荷(有効原子番号)
  2.2 原子とイオンの大きさ
   2.2.1 原子半径
   2.2.2 イオン半径
   2.2.3 共有結合半径
  2.3 イオン化エネルギー(+イオン化エンタルピー)
  2.4 電子親和力(−イオン化エンタルピー)
  2.5 電気陰性度
   2.5.1 Paulingの電気陰性度
   2.5.2 Mullikenの電気陰性度
   2.5.3 Allred-Rochowの電気陰性度
   2.5.4 Sandersonの電気陰性度
   2.5.5 電気陰性度の化学結合への応用とその後の発展

3 分子および固体結晶の構造と化学結合
  3.1 分子の化学結合に関連した実験事実
   3.1.1 分子の結合解離エネルギーと平均結合エネルギー
   3.1.2 分子の結合距離と結合角
  3.2 分子の形(構造)の古典的理解―八隅則とVSEPR則―
   3.2.2 八隅則
   3.2.3 VSEPR則
   3.2.4 Paulingの混成軌道
  3.3 簡単な無機結晶の構造
   3.3.1 無機結晶構造の基礎
   3.3.2 最密充填の八面体・四面体位置の占有率による結晶構造の分類
   3.3.3 半径比の法則
   3.3.4 結晶構造と化学結合様式
  3.4 イオン結合
   3.4.1 双極子モーメントトイオン性
   3.4.2 再びイオン半径について
   3.4.3 格子エネルギーの計算
   3.4.4 ボルン・ハーバーサイクルと格子生成エンタルピー
  3.5 化学結合の量子論
   3.5.1 原子軌道関数法
   3.5.2 分子軌道法
   3.5.3 結晶固体のバンド理論

4 溶媒および酸・塩基
  4.1 物質が溶解するとは?
  4.2 溶媒としての水と水和
  4.3 溶媒としてのアンモニアと硫酸
  4.4 酸と塩基
   4.4.1 Arrheniusの理論
   4.4.2 Bronsted・Lowlyの理論
   4.4.3 Lewisの理論
   4.4.4 弱酸・弱塩基の電離
   4.4.5 塩の加水分解
   4.4.6 緩衝液
   4.4.7 多段平衡
   4.4.8 酸と塩基の中和滴定
成績評価の方法
期末試験,レポートと出席の総合評価
教科書
教科書は用いない.
参考書
D. F. Shriver, P. W. Atkins, C. H. Langford 「Inorganic Chemisty」 Oxford, (訳あり)東京化学同人
J. E. Huheey 「Inorganic Chemistry」(訳あり), 東京化学同人
R. T. Sanderson 「Inorganic Chemistry」(訳あり), 広川書店
その他
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