pHジャンプを目的としたTG法によるo-nitrobenzaldehyde の光解離の研究
1. Introduction
光反応によりprotonが放出される反応は早い時間スケールで瞬間的にpHが変えることのできる興味ふかい反応である。たとえば、hydroxynaphthaleneは基底状態と励起状態でpKaが異なるため光励起によりpHが変えることができる。しかし,その励起状態の寿命でpH が元に戻るためpHジャンプを長い間保つには適当ではない。一方、ここに示したNBAは励起状態で分子内プロトン引き抜き反応がおこりo-nitrosobenzoic anionに変化し,プロトンの解離がおこるという不可逆な反応でprotonを放出するため長い間pHを変えることができる。そのためこの反応を利用すると pHをジャンプさせた後の蛋白質などの構造変化のダイナミクスを研究することが可能となる。ここではそのための基礎研究としてo-NBAの光解離反応を過渡回折格子 (TG)法を用いて調べた。
2. Results and Discussion
さまざまのpH溶液で測ったo−NBAの光解離反応によるTG信号を見るとo−NBAの光解離反応によるTG信号が溶液の pHに大きく依存しているのが分かる。
図3はpH=6.5と8.2で測定されたo−NBAのTG信号から求められた速度定数をq2に対して図示したものである。各成分の速度定数は q2に依存するので,q2に対して速度定数を図示すれば、傾きは拡散定数を表します。
Proton由来の信号:protonが存在することによる体積収縮によるもの。
→ これまでprotonの光学検出はなせられたことがなく常にpH indicatorなどのプローブ分子を用いて 検出しておりましたがこうした分子を混入することで protonのダイナミクスが変化する可能性がある。ここで初めてプロ−ブ分子を用いないで放出されたprotonの量やダイナミクスを調べられることが分かった 。
熱グレーティングの強度とPA信号の強度によりNBAの光解離反応の体積変化、エンタルピ−変化とprotonの体積を求められる
3. Conclusion
molar volumeを求めた。
が観察された。
詳しくは、論文を見てください。
Jungkwon Choi, Noboru Hirota, and Masahide Terazima, “A pH jump reaction studied by the transient grating method : Photodissociation of o-Nitrobenzaldehyde” J. Phys. Chem. A 2001, 105, 12-18
Future
→pHジャンプによるApomyoglobinの折り畳み (現在 解釈中)
(Apomyoglobin: Hemeが無い myoglobin)
水中で観測されたapomyoglobinとNS‐のTG信号
o‐NBAのTG信号
早い減衰する成分:Protonの拡散によるもの(D=1.9x10-9m2s-1)
遅い成分:親分子の拡散によるもの(D=0.8x10-9m2s-1)
o‐NBAとApoMbのTG信号
立ち上がりの成分:D=1.4x10-9m2s-1。 (この成分の由来は何?)
遅い減衰する成分:D=0.17x10-9m2s-1 (Apomyoglobinによるもの )