承前)データで見る理科離れ、数学嫌い

「理科離れ」のつづき。もうちょっと調べてみた。
まず、「理科離れ」を含む記事件数に毎日新聞のデータを加えた。といっても傾向はまったく同じ。

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図1.「理科離れ」を含む記事件数(全国版+地方版)

次に、数学についても調べた。「数学離れ」という言葉も見られるが、件数的には「数学嫌い」、「算数嫌い」の方が多いので、こちらで。さらに「算数嫌い」は歴史があって、1960年代から散見される。1970年代には銀林浩の書名にも使われている。ここでは、上のグラフと揃えて1983年以降。うっかり別々に検索して件数を足したので重複がある。検索し直せばよいのだがまあ傾向は変わらないと思われるので、そのまま載せる。

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図2. 「数学嫌い」を含む記事の件数+『算数嫌い」を含む記事の件数(重複あり)(全国版+地方版)

「理科離れ」以前からの話題であることがわかる。しかし、「理科離れ」に引きずられたか1994年以降増加している。ところが、2001年をピークに減少しているところが「理科離れ」と違う。

とくに「理科離れ」については、前記事の通り、1994年の物理系学会の声明がきっかけになった。それ以前に関連する話題(前駆現象)が何かなかったかと思って、いくつか探ってみた。そのなかでいちばんそれらしいのが「理工系離れ」。

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図3. 「理工系離れ」を含む記事の件数(全国版+地方版)

バブル経済期あたりに大学の理工系志願者が減った云々で「理工系離れ」ということが言われ始めている。その問題が高校の理系科目(とくに物理)選択者の減少(前記事)の問題と相俟って1994年のビッグバンに繋がったということかもしれない。他にも関係する要素があるとおもうが。それはさておき、「理科離れ」がその後どんどん社会問題化する一方で、「理工系離れ」は記事にならなくなっていった。これは問題が解消したということではおそらくなくて、教育問題としての関心が高まったからだろうと思う。
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