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多孔結晶化学分科
本研究室では、多数の空孔を持つ結晶、即ち「多孔結晶」に関する研究を行っています。有機・無機を問わず、近年多様な多孔結晶の合成が報告されていますが、シリカ・アルミナ・リン酸等の無機物質から構成されるゼオライトと呼ばれる多孔結晶が具体的な研究対象です。ゼオライトは図に示すように1nm程度の内径を持つ空洞が規則的に配列している特徴を有しています。ガス吸着剤・イオン交換剤・触媒として我々の生活にも身近に存在しています。 このゼオライトの新たな利用法として、本研究室ではナノ物質を安定化するための「ホスト」として注目しています。下図に示すように、空洞に原子や分子を吸着させ、それらが互いに凝集することによりナノ物質が細孔内に安定化されます。ナノ物質はその微少なサイズという特徴から、元のバルク結晶が有しない種々の電子的特性を示すことが理論的にも予測されています。このような背景から1)安定化されたナノ物質が示す物理的・化学的性質に特異な振る舞いが現れることを狙っています。更にゼオライトに安定化したナノ物質の特徴として、下図にように互いに接するほどの高密度であるためナノ物質間に相互作用が生じ、元の結晶や更にはナノ物質単独とも異なる新奇な性質が現れることがあります。例えば、類似の系としてサッカーボール型のフラーレン分子C60の結晶にカリウムをドープすると超伝導を示すことがその代表例と言えます。 安定化ナノ物質に着目した研究のみならず、本研究室ではゼオライト自身にも関心をもっており、2)新規な結晶構造を有するものや3)100 μmを超える単結晶の化学的手法(水熱反応法)による合成にもチャレンジしています。新規結晶構造はガス吸着や触媒反応等への応用も期待され、一方単結晶はマイクロ電子デバイス構築にもつながる重要な基盤材料にもなり得ます。 上記1)〜3)の研究テーマに対し、近赤外〜可視〜紫外、FT-IR、ラマンスペクトル等の分光法、電子スピン共鳴分光法、X線回折法、そしてSEM像観察を中心に、自ら合成した貴重な試料の物理的・化学的特性や結晶構造を自らの手で解明していきます。 分析装置等について具体的に知りたい方はこちらのHPを参照してください。
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© Kyoto University 2008 |