[論文の概要] Arthrospira platensis (製品名 スピルリナ)は大量培養に適しているため、食品・飼料や食品添加物の原料としてさまざまなところで利用されています。しかし、この生物はこれまで基礎研究にあまり使われてこなかったため、研究の手法が整っていません。例えば、基礎的な実験をおこなう際には、他の細菌を除去した無菌系統を作出し、それを使って実験することが必要です。しかし、A. platensis の場合、無菌化がなかなかうまくいかないことが多く、それは、細胞の周囲に他のバクテリアが強固に結合していて、それらを除去できないためであると信じられてきました。そのような背景のもと、この論文は、40年以上前から信じられていたその説が誤りであることを明らかにして、A. platensis の無菌系統を簡単迅速に作出できるようにしたものです。これによって、これまで多くの研究者を悩ませてきた問題が解消され、他のバクテリアの影響を受けない状態でさまざまな研究を行えるようになりました。

Shiraishi, H., Association of heterotrophic bacteria with aggregated Arthrospira platensis exopolysaccharides: implications in the induction of axenic cultures. Biosci. Biotechnol. Biochem. 79, 331-341 (2015).