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デカフィリンPd錯体

デカフィリンは10個のピロールからなる大環状ポルフィリンであり、"最大の芳香族性"を実現する上で魅力的な基本骨格である。しかしならがらこの分子はサイズが巨大でかつ柔軟であるがゆえに、分子内水素結合により共役を有効に繋げられないため芳香族性を示さない。そこで我々はデカフィリンにPd錯化を施すことで巧みに分子を固定化し、46πヒュッケル芳香族性44πヒュッケル反芳香族性44πメビウス芳香族性を示す3つの異性体をそれぞれ合成することに成功した。これらはいずれも当時における最大のヒュッケル芳香族、ヒュッケル反芳香族、メビウス芳香族性分子である。また、このうち2つ目と3つ目の分子の記録は2016年8月現在まで続いている。


T. Yoneda, Y. M. Sung, J. M. Lim, D. Kim, A. Osuka, Angew. Chem. Int. Ed., 2014, 53, 13169-13173.


[50]ドデカフィリン(1.1.0.1.1.0.1.1.0.1.1.0.)

分子内水素結合の様式を変化させるには、錯形成のみならずメゾ位の炭素数の変化やイミン型窒素のプロトン化も効果的な手法である。我々は3つに1つのメゾ位炭素が欠損したピロール12個からなる環拡張ポルフィリンである[50]dodecaphyrin(1.1.0.1.1.0.1.1.0.1.1.0.)を合成し、これにメタンスルホン酸を作用させることで分子内水素結合が切断され高い平面性を示すことを見出した。そのため、驚くべきことにこの分子は50個ものπ電子を有しているにも関わらず明確な芳香族性を示した。なお、本化合物は2016年8月現在において世界最大の芳香族化合物であり、2015年の"C&EN’s Molecules Of The Year"にも選出された。



T. Soya, W. Kim, D. Kim, A. Osuka, Chem. Eur. J., 2015, 21, 8341-8346.



ヘプタフィリン リン錯体

ヘキサフィリン リン錯体においてメビウス反芳香族性が発現した知見を活かし、ヘプタフィリンのリン錯化を行った。この[34]ヘプタフィリン リン錯体は4n+2個の電子を有するにも関わらずメビウス型の構造を示し、2016年8月現在において最大のメビウス反芳香族化合物だと考えられる。



T. Higashino, B. S. Lee, J. M. Lim, D. Kim, A. Osuka, Angew. Chem. Int. Ed., 2012, 51, 13105-13108.