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超ポルフィリンの化学(大須賀・田中グループ)

ポルフィリンは自然界での光合成や代謝における重要なはたらきに注目されてきたのみならず、その金属錯体の多彩な触媒機能や優れた電気化学的・光化学的な特性から広範な分野で長年にわたり研究されており、その化学は相当に成熟したレベルにある。それに対し当研究室では、「単分散巨大ポルフィリンアレー」、「高度に電子共役が拡張したポルフィリンテープ」、「環拡張ポルフィリン」、「サブポルフィリン」、「メビウス芳香族・反芳香族性分子」など、それまでのポルフィリン化学の枠を超えた超ポルフィリンの化学参考)を独自に開発してきた。現在はこれらをより一層深化・発展させて、有機化学、構造化学、錯体化学、光化学、触媒化学などの広範な分野で真にインパクトを持つ概念的に新しい共役電子系を開拓するため、日夜研究に励んでいる。


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分子骨格の柔軟性を鍵とした動的π共役系の機能発現(齊藤グループ)


個人ホームページ:http://shohei-saito.webnode.jp

π 共役分子は一般に剛直な芳香環や多重結合(おもにsp2 炭素)から構成されるため、必然的に剛直な構造をもつものが圧倒的に多い。このため、π 共役分子は狙った形のものを作りやすく物性面でも多くの強みをもつ。しかし,基本となる分子骨格が剛直であるということは無機材料に似て、構造の柔軟性に由来する物性の変換は難しく、静的な物性の発現に留まっていると考えることもできる。我々は「π 共役骨格を動かす」という視点に基づき剛直性の利点を活かしつつ柔軟性を兼ね備えた一連のハイブリッドπ 共役分子を生み出し、これをFLAP(Flexible Aromatic Photoresponsive systems)と名付けた。




このFLAP分子は周囲の環境に応じて異なる動的挙動を示すため、単一分子でありながらも薄膜・溶液・結晶中でそれぞれ青・緑・赤色の三原色発光を示すことが分かった。我々はここで得られた知見を活かし、接着剤にFLAP分子を分散させることで接着剤のリアルタイムな硬化過程を観測することに成功している。また、近年ではFLAP分子の光励起による構造変化に着目することで、光で剥がせる接着剤の開発にも成功している。


C. Yuan, S. Saito, C. Camacho, S. Irle, I. Hisaki, S. Yamaguchi, J. Am. Chem. Soc., 2013, 135, 8842-8845.

C. Yuan, S. Saito, C. Camacho, T. Kowalczyk, S. Irle, S. Yamaguchi, Chem. Eur. J., 2014, 20, 2193-220.


R. Kotani, H. Sotome, H. Okajima, S. Yokoyama, Y. Nakaike, A. Kashiwagi, C. Mori, Y. Nakada, S. Yamaguchi, A. Osuka, A. Sakamoto, H. Miyasaka, and S. Saito, J. Mater. Chem. C, 2017, 5, 5248-5256.


S. Saito, S. Nobusue, E. Tsuzaka, C. Yuan, C. Mori, M. Hara, T. Seki, C. Camacho, S. Irle, S. Yamaguchi, Nat. Commun., 2016, 7, 12094.