特別推進研究 高性能有機触媒の創製と精密有機合成化学への応用 SitemapEnglish
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  • 京都大学 大学院理学研究科 化学専攻 有機合成化学研究室
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研究内容【有機塩基触媒】

有機塩基触媒として、相間移動触媒に着目し、以下の研究を展開している。

相間移動触媒としてのテトラアルキルアンモニウム塩(R4N+X-)は、そのイオン構造のため通常水溶性であるが、そのアルキル基が長鎖になると脂溶性が高まり有機溶媒にも可溶となる。この特性を相間移動触媒として利用することにより、各種の反応を常温でしかも水の存在下で行うことが可能となり、同時に反応速度の大幅な増大が期待できるようになる。更に実験操作が非常に簡便となるなど、様々な合成化学的な利点がある。このような観点から相間移動反応は、水溶液中、常温、常圧、開放系で行なえるため、極めて工業化しやすい反応システムである。しかしながら、不斉合成のための効率良いキラル相間移動触媒の調製は容易ではなかった。唯一の成功例がシンコナアルカロイド由来のキラル相間移動触媒であったが、これらは常に触媒設計における制限を受けるため、適用可能な有機合成反応に限りがあった。キラル相間移動触媒反応系を多様な不斉合成反応へと適用すべく、新たなデザイン型キラル相間移動触媒の開発が望まれる中、我々は入手容易な光学活性ビナフトールから調製した第四級アンモニウム塩型キラル相間移動触媒(S,S)-1及び(S)-2を独自に開発し、これを触媒とした様々な有機合成反応の開発を行ってきた。中でも、高活性相間移動触媒(S)-2を用いたグリシン誘導体の不斉アルキル化反応は、光学活性α-アミノ酸の大量合成を可能とし、本法を利用することで、医薬中間体としての各種人工アミノ酸合成の工業化に成功した。触媒(S)-2は現在、「簡素化丸岡触媒®」としてSigma-Aldrich、Strem及び関東化学から市販されている。

 前述の反応のように、第四級アンモニウム塩を相間移動触媒として用いた反応系では、水酸化カリウムのような塩基の添加が反応促進のために必須であると考えられてきた。しかし、最近,これまでの常識を覆す、外部塩基の添加を一切必要としない中性条件下で進行するキラル相間移動触媒反応系を見つけることができた。本反応系は、二官能性相間移動触媒(S)-3存在下水溶媒中に、固体の基質および触媒を溶解するための極少量の有機溶媒を添加するのみで反応が実施でき、環境調和型の実用的反応系である。