特別推進研究 高性能有機触媒の創製と精密有機合成化学への応用 SitemapEnglish
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  • 京都大学 大学院理学研究科 化学専攻 有機合成化学研究室
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研究内容【有機ラジカル触媒】

高い反応化学種であるラジカルを利用するラジカル反応は、イオン反応では実現し難い変換を可能にする魅力的な反応系である。しかしながら、ラジカル反応を促進、制御する有機ラジカル触媒の研究は、他の有機分子触媒と比較すると、著しく遅れている。


我々は、有機ラジカル触媒の開発にあたり、ジスルフィドやチオールから容易に発生させることができる有機硫黄ラジカルに着目し、硫黄ラジカルが触媒活性種として働く、新たな有機ラジカル触媒の開発に取り組んだ。その結果、ビニルシクロプロパンとオレフィン間の不斉ラジカル環化反応において、独自にデザインしたキラルなインダノール骨格を有するチオール(R)-1から発生させた有機硫黄ラジカルが、高い収率及び立体選択性で、環化生成物を与えることを見出した。本反応系は、触媒量の(R)-1及び過酸化ベンゾイル(BPO)存在下、光の照射のみで円滑に環化反応が進行し、様々な多置換シクロペンタンを合成することが出来る。


また、立体的に嵩高いジスルフィド2を触媒として用いることにより、含窒素三員環化合物であるビニルアジリジンとオレフィン間でのラジカル環化反応の開発にも成功した。

一方、我々は、超原子価ヨウ素化合物の光分解を利用した、脂肪族アルデヒドからの直接的なアシルラジカルの発生と、続く電子不足オレフィンに対するラジカル的共役付加反応の開発に成功した。 本反応は、 触媒量の超原子価ヨウ素剤3存在下, 可視光を照射することで進行し、 様々なケトン体が良好な収率で得られる。アルデヒドから直接アシルラジカルを発生させる手法は、一般に高い反応温度や遷移金属触媒を必要とするものが多く、かさ高い脂肪族アルデヒドから発生するアシルラジカルにおいては、容易に一酸化炭素を放出してアルキルラジカルを与えることが知られている。 そのため、脂肪族アルデヒド由来のアシルラジカルを効率的に発生させる手法は数が限られていた。本反応系は、温和な条件で進行するため、脱一酸化炭素といった副反応が見られず、優れたアシルラジカルの発生法といえる。