京都大学理学研究科 化学専攻
電子スピン化学研究室
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電子スピン化学講座とは・・・
原子・分子・物質に関する研究は究極的には電子の科学と言えよう。構造・物性・反応の三位一体を解明する物理化学においては、それらを電子の挙動として理解することが主たる研究目標となっている。ところで電子は電荷をもつ素粒子であると共にスピンを有しており、従って、電子の状態は軌道関数とスピン関数の積で記述されている。 本分科においては電子のスピンという属性に注目し、スピンに関するいろいろな現象を通して自然界を理解しようと努力している。すなわち、スピンを"目"として構造・物性・反応にかかわる波動関数や電子状態の知見をえようとすると共に、スピンのみが示す特徴的な性質(磁性などを含む機能性)を解明し、新規な分子・物質の創製に努めている。研究手段としては分子分光学(電子スピン共鳴法や光吸収・発光スペクトル)を中心とし、磁気測定を加味して研究を進めている。 スピンを基底状態で有する物質(ラジカル・遷移金属イオンや格子欠陥)や励起分子などの構造・性質あるいは反応中間体などが対象となるが、スピンを有しない物質では酸化・還元などによるスピン付加やスピンラベル・スピンプローブ法を用いて研究対象を広げることが出来る。 これまでの研究例を以下にまとめる。 まず基底状態に関しては
(1)ラジカル分子の構造・反応・物性(化学結合や電子分布・分子磁性)
(2)遷移金属・希土類イオンの構造と物性(d・f電子の化学・錯塩化学・磁気化学)
(3)機能性分子・物質のキャラクタリゼーション
(4)ラジカル反応・光化学反応の中間体
などである。液体論に関する研究として溶質・溶媒間相互作用をスピンを有する物質をプローブとして行ったこともある。 励起状態に関する研究として
(1)励起三重項分子の構造と反応
(2)吸収スペクトルの観測
(3)ケイ光・リン光スペクトルの同定
(4)分子ジェットによる高分解能スペクトルの観測
などがあげられるが、いずれもスピン状態が一重項から励起一重項への光吸収並びにその後の項間交差による励起三重項への遷移に関わる研究であり、励起分子の構造・性質・反応を理解する上で欠かせない知見である。
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Updated on 27/9/2006 by Yohei Noda