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☆青色光センサータンパク質AUREOCHROMEの光反応ダイナミクス☆

序論

近年、フシナシミドロ中でAUREOCHROMEという新規の青色光受容タンパク質が発見された。AUREOCHROMEには、AUREO1とAUREO2の2種類があり、AUREO1は主に枝の成長点である突起の発生を担うメインスイッチの働きをし、AUREO2は枝の成長の源となる生殖器官の形成を制御していることが報告されている。このタンパク質はC末端側に青色光センサーとして働くLight-Oxgen-Voltage-sensing (LOV)ドメインをもち、中央部に転写因子を持つことで知られるbasic region-leucine zipper (bZIP)ドメインをもっている。受光すると2つのAUREOCHROMEのbZIPドメインがDNAを挟み込むかたちで結びつくといわれており(図1)、それが機能発現に重要であると考えられているが、その一連の過程の詳細についてはわかっていない。よってその光反応過程の詳細を解明することは非常に重要な試みである。今回はサンプルとしてAUREO1のC末端側を100残基ほど切ったAUREO1-ZLを用いた。AUREO1-ZLは切断されてはいるもののLOVドメインとbZIPドメインは保持しており、機能発現までの光反応は問題なく起こることが電気泳動等で証明されている。我々はまずAUREO1-ZL単体の光反応ダイナミクスを過渡回折格子法 (TG法)で調べた。

結果と考察

AUREO1-ZLを光励起した時のTG信号を図2に示す。その結果2.8 μsにLOVドメインにあるシステイン残基と発色団であるFMNとの共有結合形成の信号と、〜10 μsに励起分子から放出された熱の拡散が観測された。また、さらに遅い時間スケールに拡散係数変化を伴う反応の信号が観測され、そのうち早い時間スケールの信号が反応物の拡散、遅いタイムスケールの信号が生成物の拡散の信号であることがわかった。詳細に解析した結果、この反応はk-1 = 160msで起こり、図3に示すようなLOVドメイン間の距離が変化することによって構造が変化する反応であることがわかった。




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