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研究内容紹介

有機物及び有機−無機複合集合体に様々の電子機能を付与させる物質開発研究を行っています。高い導電性、超伝導性、磁性、相転移現象(金属−絶縁体、中性−イオン性、陽子−電移動)を主に取り上げ、それらの機能と集合プロセス・状態(単結晶、粉末、薄膜などやミセル、LB膜、液晶など)を組合せ、特異な機能性を持つ集合体物質を開発していきます。それと同時にそれらの物性の評価(伝導性、磁性、光物性、熱物性)と構造解析により、構造と物性の相関や分子間相互作用の理解を行っています。

有機物に於いても構成原子の電子軌道の重なりによって伝導性を持たせることができるのですが、金属の場合とは違って遍歴電子の移動における移動のし易さや、アップとダウンの電子間の反発力(on-site Coulomb repulsion) が大きく、また伝導面も一次元または二次元で、パイエルス転移やスピン密度波転移を起こしやすく、主にこの”移動積分の拡大”、”on-site Coulomb repulsion”の減少、”伝導面の次元”の向上といった要素を改善するという形で有機金属は発展しています。

転移温度に於いてはペロプスカイト型酸化物超伝導体(安定なものでは120Kくらい)には及ぶべくもありませんが(有機物の最高はBEDT-TTF系では約14K、C60系で約33K)、そのほかにおいては面白い現象が見られます。例えば有機超伝導体は従来のBCS理論の範疇では理解できない興味深い現象やドハース・ファン・アルフェン振動において新しい振動(3次元的なフェルミ面の影響?)が見られたりします。そのため、物性物理、物性化学などにおいて精力的に研究されています。また、リトルモデルという超伝導機構の発現に成功すれば、その転移温度は理論上 1000Kをも凌ぐと言われています。有機超伝導体は我々にとって様々な新しい話題を提供してくれています。

さらにその特異な性質を利用して、材料工学としても次世代エレクトロニクス等に大きな役割を果たせるのではないかと期待されています。

この研究室では有機物の設計可能性を利用して有機物結晶内に理想的な電子状態、電子分布、原子核の分布状態を作り出し、より高温でも超伝導を示す物質を開発しています。電子─電子間、電子─原子核間の相互作用を理解し、結晶構造を解析することで高温超伝導のために重要な要素を探りだし、その要素を盛り込んだ新物質を開発していきます。自分達が発案、合成した新物質を用いて新機能を持った有機物を作るためには、理論と実験の力強い裏付けが必要であり、また創造性も必要とされます。すなわち原料からの目的物の合成、それらを用いての有機結晶の作成法の確立、出来た結晶の物性の解析とその理論的考察。並んでほかの関連研究室の新成果の学習、基礎理論の学習。しかしこの中で生まれる充実感は格別です。あなたもこの分野に参加してみませんか?


関連資料

京都大学COE「元素科学」での発表原稿
NATO conference (in Corfu)での発表原稿
京都大学21世紀COEプログラムでの報告書
サイエンスパートナーシッププログラムでの配布資料

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