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Corrole
ポルフィリンとは一味違う。

コロールはポルフィリンよりメゾ位炭素が一つ少ない環縮小ポルフィリノイドであり、ポルフィリンと同様に18個のπ電子を有する芳香族化合物である。しかしながら、通常ポルフィリンは2価の平面四角形型の配位場を与える一方で、コロールは3価の平面台形型の配位場を与える。そのためコロールはポルフィリンとは異なる電子的・光化学的特性を示し、多くの化学者の注目を集めている。我々はこのようなコロールの性質に着目し、独自の機能発現に取り組んでいる。



新規コロール合成法の確立

コロールは1999年にGross, Paolesse, Grykoらが合成法を確立して以来、世界中で精力的に研究がなされている。この合成法ではピロールもしくはジピロメタンからテトラピラン中間体を合成し、それに酸化を施すことで対応するコロールを得ることができる。しかしながら、この合成法ではA3型もしくはtrans-A2B型のコロールしか合成できず、cis-A2B型のコロールは得ることが困難であった。我々はジピロメタンとジピロメタンモノカルビノールから得られたテトラピラン中間体を経由することでcis-A2B型のコロールを合成することに成功した。また、これにより5位が無置換のコロールが初めて合成できるようになり、新たなコロール化学の展開が可能となった。


S. Ooi, T. Tanaka, A. Osuka, Eur. J. Org. Chem., 2015, 130-134.

S. Ooi, T. Yoneda, T. Tanaka, A. Osuka, Chem. Eur. J., 2015, 21, 7772-7779.


縮環コロール二量体

コロールはポルフィリンと異なり対称性が低いために3つの異なる辺を持つ。我々はこれらの辺どうしでそれぞれ縮環した3種類のコロール二量体を合成し物性評価を行った。これらの二量体の物性は縮環部位によりそれぞれ異なり、"一重項ビラジカル性の発現"、"芳香族と非芳香族間のスイッチング"、"近赤外領域に及ぶ吸収"といった性質を示した。


S. Hiroto, K. Furukawa, H. Shinokubo, A. Osuka, J. Am. Chem. Soc., 2006, 128, 12380-12381.

S. Ooi, T. Tanaka, K. H. Park, S. Lee, D. Kim, A. Osuka, Angew. Chem. Int. Ed., 2015, 54, 3107-3111.

S. Ooi, T. Tanaka, K. H. Park, D. Kim, A. Osuka, Angew. Chem. Int. Ed., 2016, 55, 6535-6539.



コロールに関する包括的な総説

“Synthesis of Corroles and Their Heteroanalogs”
R. Orłowski, D. Gryko, D. T. Gryko, Chem. Rev. 2017, 117, 3102-3137.