研究内容・業績

研究テーマ

「紫外光センサータンパク質UVR8の反応ダイナミクスの解析」シロイヌナズナ由来のUV-B(280-315nm)センサータンパク質UVR8は、紫外光を感知し、紫外光ダメージからの防護・修復といった遺伝子発現を誘導している。先行研究によって結晶構造が解明されており、図1のようにUVR8は7枚のβ−プロペラによって形成されている。UVR8は電荷を持つアミノ酸が多く配置されており、この電荷によって暗条件ではダイマー構造を形成している。ダイマーは紫外光照射によってモノマーへの光解離反応が誘導され、UVR8モノマーのC末端がCOP1と相互作用し、下流への反応へと繋がっていく。
　UVR8は紫外光吸収に関して、一般的な光センサータンパク質が発色団によって光を吸収しているのに対して、トリプトファンクラスターによって光吸収する興味深い特性を示している。UVR8中には計14残基のトリプトファンが含まれているが、特にW285が光反応に重要であると示唆されている。本研究では先行研究で言及されたUVR8の解離反応を過渡回折格子法によって拡散係数変化として確認し、解離反応のカイネティックスを求めることを目的としている。また、トリプトファンミュータントや電荷を持つ残基をミューテーションすることによって得られるモノマーミュータントを比較することで解離反応のメカニズムについての考察を行っている。


研究業績

Study on the Reaction Dynamics of UV-Light Sensor Protein UVR8 from Arabidopsis
『揺らぎと生体機能第五回公開シンポジウム』P002 2012.1.8@奈良

UV-B光センサータンパク質UVR8の反応ダイナミクス
『第6回分子科学討論会』3P083 2012.9.20@東京

Kinetic measurement of photo-induced dissociation and conformational change in the C-terminal flanking region of UVR8
『揺らぎと生体機能第六回公開シンポジウム』P005 2012.12.5@京都

Kinetic Measurement of the Dissociation Dynamics of UVR8 in Solution Revealed by Transient Grating Method
『33rd International Conference on Solution Chemistry』3PE19 2013.7.10＠京都

口頭発表
The photochemical reaction dynamics of Arabidopsis UVR8　protein revealed by time-resolved TG method
『第92回日本化学会春季年会』3D6-42 2012.3.27@東京

The study of the dissociation and recovery reaction kinetics for photo-sensor protein UVR8
『第50回日本生物物理学会年会』2F1558 2012.9.23@名古屋

Kinetic Measurement of Photo-induced Reaction of UVR8 Revealed by Transient Grating Method
『第93回日本化学会春季年会』4E2-26 2013.3.25＠滋賀

UV-Bセンサータンパク質UVR8の解離反応に重要な構造変化検出
『第7回分子科学討論会』3D20 2013.9.26＠京都