学年:博士課程3年
血液型:A型
略歴:愛媛県(八幡浜高校)
趣味:読書
コメント:研究室を盛り上げていけるように頑張ります!
連絡先:takakado at kuchem.kyoto-u.ac.jp
研究テーマ
光による外界の認識は生命にとって重要であり, 様々な光受容機構を持っている。中でも, 光を吸収して反応する光センサータンパク質は光感知において中心的な役割を持ち, その構造や反応の研究は光センシング機構の解明に不可欠である。私は青色光センサーであるLOVドメインをもつタンパク質について反応ダイナミクスの研究を行っている。
1. Phototoropinの反応研究
青色光センサータンパク質のPhototropinは広く研究が行われている光センサータンパク質の一つである。Phototropinは二つのLOVドメインLOV1,
LOV2と活性を示すkinaseドメインを持つタンパク質であり, LOVドメインの光反応によりkinaseドメインの活性が光依存的にON/OFFされている。PhototropinにおいてLOVドメイン内部の反応やLOVドメイン近傍の構造変化は研究されてきたが,
LOVドメインからkinaseドメインへとドメイン間の信号伝達のダイナミクスについては研究が進んでいない。私はこの反応ダイナミクスを明らかにするために研究を行った。(J.
Phys. Chem. B, 2017, 121 (17), pp 4414–4421)
過渡回折格子法を用いて反応検出を行ったところ, キナーゼドメイン活性化に伴うとみられる大きな構造変化が拡散係数変化として検出された。反応速度研究から,
この構造変化はLOVドメインとキナーゼドメインの間に位置するリンカー部位の構造変化が重要であることが明らかになった。またリンカー部位における構造変化について,
従来から提唱されていたJαへリックス構造の構造変化だけでなく, その外部構造の重要性が示唆された。
2. EL222の反応研究
バクテリア由来のタンパク質であるEL222はフォトトロピンと同様にLOVドメインを持ち青色光の光センサーである。EL222はLOVドメインとDNA結合ドメインを持ち, 光依存的にDNAと結合して転写制御を行うことができる。また, この反応を利用して人工的に光で転写反応を制御する研究(optogenetics)にも応用されているタンパク質である。EL222の構造は明らかにされているが, その反応ダイナミクスについての研究はこれまで行われていない。私は, EL222の光反応およびDNA結合過程のダイナミクスを過渡回折格子法を用いて観測している。また, EL222のDNA結合過程のダイナミクスを観測することにより, タンパク質のDNA認識過程の詳細を明らかにできるのではないかと期待して研究を行っている。
研究業績
投稿論文
Light-Induced Conformational Changes of the LOV2-Kinase and the Linker
Region in Arabidopsis Phototropin2
J. Phys. Chem. B, 2017, 121 (17), pp 4414–4421
国際会議 ポスター発表
[1] Light induced signal transduction reaction of LOV2-kinase fragment
of phototropin2 from Arabidopsis
○A.Takakado, Y. Nakasone, K. Okajima, S. Tokutomi and M. Terazima
33rd International Conference on Solution Chemistry (3PE23, Kyoto; July
2013)
[2] Time dependent conformational changes of phototropin2 for signal transduction
○A.Takakado, Y. Nakasone, K. Okajima, S. Tokutomi and M. Terazima
The 2nd International Symposium on Dynamical Ordering of Biomolecular Systems
for Creation of Integrated Functions (P54, Kyoto; January 2014)
[3] Light induced conformational changes of a blue light receptor phototropin2
:LOV2-kinase
○A.Takakado, Y. Nakasone, K. Okajima, S. Tokutomi and M. Terazima
The 3rd International Symposium on Dynamical Ordering of Biomolecular Systems
for Creation of Integrated Functions (P26, Mie; January 2015)
[4] Reaction dynamics of light dependent DNA-binding protein EL222
○A.Takakado, Y. Nakasone and M. Terazima
The 4th International Symposium on Dynamical Ordering of Biomolecular Systems
for Creation of Integrated Functions (P015, Fukuoka; November 2015)
[5] Dynamics of conformational change and DNA-binding of light sensor protein
EL222
○A.Takakado, Y. Nakasone and M. Terazima
The 5th International Symposium on Dynamical Ordering of Biomolecular Systems
for Creation of Integrated Functions (P031, Tokyo; January 2017)
国内会議 口頭発表
[1] 光センサー蛋白質フォトトロピンのLOV2-キナーゼ部位における光反応ダイナミクス
○高門輝、中曽根祐介、岡島公司、徳富哲、寺嶋正秀(1G8-11第93回日本化学会春季年会 滋賀2013年3月)
[2] 光センサー蛋白質フォトトロピンの構造変化を伴う分子内信号伝達
○高門輝、中曽根祐介、岡島公司、徳富哲、寺嶋正秀(4D4-14 第94回化学会春季年会 愛知2014年3月)
[3] 光センサー蛋白質フォトトロピンのLOV2キナーゼ部位における反応ダイナミクス検出
○高門輝、中曽根祐介、岡島公司、徳富哲、寺嶋正秀 (1H2-04 第95回化学会春季年会 千葉2015年3月)
[4] 光応答性DNA結合タンパク質EL222の反応ダイナミクス
高門輝、中曽根祐介、寺嶋正秀 (3C04 第9回分子化学討論会 東京2015年9月)
[5] 光依存的な転写制御タンパク質EL222の時間分解反応検出
○高門輝、中曽根祐介、寺嶋正秀 (4C5-15 第96回化学会春季年会 京都2016年3月)
[6] Reaction dynamics of photo-activation and DNA-binding of the light-dependent
DNA binding protein EL222
○A.Takakado, Y. Nakasone1 and M. Terazima
(3C3-15 第97回化学会春季年会 神奈川2017年3月)
国内会議 ポスター発表
[1] 光センサー蛋白質フォトトロピンのLOV2-キナーゼ部位における光反応ダイナミクス
○高門輝、中曽根祐介、岡島公司、徳富哲、寺嶋正秀 (第1回卓越拠点物理化学若手ワークショップ 京都 2013年3月)
[2] 光反応によるフォトトロピンのLOV2キナーゼ部位における信号伝達ダイナミクス
○高門輝、中曽根祐介、岡島公司、徳富哲、寺嶋正秀(3P242 第51回生物物理学会年会 京都2013年10月)
[3] 光センサー蛋白質フォトトロピン2の光刺激による構造変化ダイナミクス
○高門輝、中曽根祐介、岡島公司、徳富哲、寺嶋正秀(1P248 第52回生物物理学会年会 札幌2014年9月)
[4] 光依存的なDNA結合タンパク質EL222の光刺激構造変化のダイナミクス
○高門輝、中曽根祐介、寺嶋正秀 (2P094 第10回分子化学討論会 兵庫2016年9月)