研究内容・業績

研究テーマ

「青色センサー蛋白質フォトトロピンのLOV2ドメインの光反応に対するCrowding効果の研究」

植物由来の青色光センサー蛋白質フォトトロピンは、光照射されると光受容を担うLOVドメインとその内部にある発色団FMNが共有結合を形成し、その後LOVドメインのC末端側に位置するhelix構造が壊れるという反応を示すことが過渡回折格子(TG) 法によりわかっている[1]。しかし上述の反応は希薄なbuffer内での反応であり実際の生体内での反応は多様な蛋白質や糖が存在する高密度・高粘度の環境下で起こっている。そこで高分子Ficollを用いて生体内を模倣した高密度環境（Crowding環境）を作り出し、この環境におけるフォトトロピンの光反応ダイナミクスをTG法を主に用いて調べた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
図1にTG測定により得られた分子拡散信号を示す。Ficollが無い場合は、C末端helixのunfolding反応由来の信号が強い拡散ピークとして観測されている。しかし、Ficollを加えるとその強度は大きく減少し、ピーク位置も遅い時間にシフトしていることがわかった。強度の減少はFicollを加えることによる反応物分子と生成物分子の拡散係数の比の減少として解釈され、またピーク位置のシフトは粘度の増加によるものと考えている。また高密度環境下ではbuffer環境では見られなかった新たな成分が観測され、これはLOVドメインから解離したFMNの拡散信号に帰属された。以上の結果を基に、生体内における蛋白質反応を考察する。　　　　　　　　 　　　　　　
[1] Nakasone et al. 2007. J. Mol. Biol. 367:432-42.

学会発表
〈口頭発表〉
・Effects of macromolecular crowding on the reaction of phototropin 1 LOV2 domain
　○YOSHITAKE,Tomoyuki; NAKASONE,Yusuke; TOYOOKA,Tsafadafafadsuguyoshi; ZIKIHARA, Kazunori; TOKUTOMI, 　Satoru; TERAZIMA, Masahide
　日本化学会第93春季年会　2013/3/25 Shiga
・Crowding effect on the reaction dynamics of Phototropin 1 LOV2 domain
　○YOSHITAKE,Tomoyuki; NAKASONE,Yusuke; TOYOOKA,Tsuguyoshi; ZIKIHARA, 　Kazunori; 　　　　
　TOKUTOMI, Satoru; TERAZIMA, Masahide
　第７回分子科学討論会 2013/9/26 Kyoto
・青色光センサータンパク質フォトトロピンの光反応に対するクラウディング効果
　Crowding effect on photoreaction of blue light sensor protein phototropin1 LOV2 domain
Tomoyuki Yoshitake, Yusuke Nakasone, Tsuguyoshi Toyooka, Kazunori Zikihara, Satoru Tokutomi, Masahide Terazima
2G5-04, 日本化学会第９４春季年会、名古屋、2014年3月

〈ポスター発表〉
・青色光センサータンパク質フォトトロピ１LOV2ドメインの光反応に対するクラウディング効果
　○YOSHITAKE,Tomoyuki; NAKASONE,Yusuke; TOYOOKA,Tsuguyoshi; ZIKIHARA, 　Kazunori; 　　
　TOKUTOMI, Satoru; TERAZIMA, Masahide
　第１回卓越拠点物理化学若手ワークショップ　2013/3/7 Kyoto
・Macromolecular crowding effect on a protein reaction; phototropin 1 LOV2 domain with the linker region
　○YOSHITAKE,Tomoyuki; NAKASONE,Yusuke; TOYOOKA,Tsuguyoshi; ZIKIHARA, 　Kazunori; 　
　TOKUTOMI, Satoru; TERAZIMA, Masahide
　33rd International Conference on Solution Chemistry 2013/6/10 Kyoto
・Behavior of blue light sensor protein phototropin1 LOV2 domain in crowding environment
Tomoyuki Yoshitake, Yusuke Nakasone, Tsuguyoshi Toyooka, Kazunori Zikihara, Satoru Tokutomi, Masahide Terazima
P52, The 2nd International Symposium on Dynamical Ordering of Biomolecular Systems for Creation of Integrated Functions, Kyoto, January, 2014

　〈講演〉
・青色光センサータンパク質Phototropin1 LOV2ドメインの光反応に対するクラウディング効果―拡散を中心に―
　九州大学物性理論研究室　物性理論セミナー　2013年12月