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DNA Nanotechnology Group

DNA NanotechnologyCOMPANY

  

DNA ナノテクノロジー

DNAナノテクノロジーとは、DNAの配列特異的な分子集合と周期的な構造を使い、ナノスケールの構造体を設計・作成する技術を基盤とした革新的な分子テクノロジーです。この技術では構造体の作成の柔軟性に加え、機能化が容易であるため、ナノサイエンス応用を中心に、材料科学や医療、環境エネルギーと多方面に応用が図られつつあります。
 このDNAナノテクノロジーは、分子の自己集合のみを利用してナノスケールの構造体を自在にデザインし作成できる革新的な技術です。ここ10年の間に欧米を中心に急速に発展している新興の学際分野で、コンピューターサイエンス、材料化学、応用物理学、細胞生物学、生物物理学、工学とさまざまな分野の研究者が参入しています。(残念ながら日本では認知度はいまいちですが)また、研究成果はNature, Scienceなど世界のトップ科学誌に数多く掲載されています。



DNAナノテクノロジーの進展によって実現される技術革新


DNAナノテクノロジーとは?

1982年にニューヨーク大学のSeemanが4方向に分岐するDNA構造(Holiday Junction)を自己集合させることで格子構造を作成する方法を考案しました。その後、DNAの自己集合によってキューブ構造などの3次元構造も作成されました。1998年、2本の2本鎖DNAを2箇所で結合させた構造体(Double crossover)を用いて作成したタイル状のDNA構造体を自己集合させることで、原子間力顕微鏡(AFM)でも観察できるサイズの2次元集合体の作成に成功しました。このブレークスルーにより、DNAの自己集合から構造体を作り上げる「DNAナノテクノロジー」の分野が誕生しました。



DNAオリガミとは?

DNAオリガミとは、DNAの自己集合によって作成されるナノスケールの2次元ナノ構造体のことです。2006年にカリフォルニア工科大学のRothemundによって開発されました。100 nm程度の構造体の自在な設計と作成を行うことができます。鋳型となる環状の1本鎖DNA(約7千塩基)に短い相補鎖DNAを加え、加熱し、ゆっくり冷却(アニーリング)することで、あらかじめ設計したDNAナノ構造体と同じサイズと形状にDNAを分子集合させることができます。
 その後、2本鎖DNA同士の幾何学的な結合を平面方向に対して垂直方向を加えることで3次元のDNAオリガミ構造体の構築方法も確立されました。あわせて、DNAオリガミ設計用のソフトウエアcadnanoが開発されました。

DNAオリガミの作成方法


DNAオリガミ

P. W. K. Rothemund, Nature, 440, 297 (2006)

3次元DNAオリガミ


Shih Group, Harvard University Nature, 459, 414 (2009); Science, 325, 725 (2009)


実験手法

原子間力顕微鏡(AFM
走査プローブ顕微鏡の1 つで、試料と鋭い探針の間に働く原子間力を利用して,試料表面の形状を測定する。探針はカンチレバー(板状のバネ)の先端に取り付けてあり,試料との間に原子間力が働くとカンチレバーがたわむので,その変位をカンチレバー背面へのレーザー照射とその反射光の検出によって測定する。試料台に取り付けられた圧電素子の制御によって試料をナノメートルスケールで走査できる。また、カンチレバーを小型化し共鳴周波数を上げることで高速スキャンが可能である。

光ピンセット (optical tweezers)
光を回折限界まで収束させることで、水溶液中でその集光点に微粒子を捕捉する方法で、その集光点を移動させることで微粒子を3次元に操作することができる。通常レーザーを光源に用い、集光点に微粒子を捕捉するため、レーザートラッピングとも呼ばれる。開発者のArthur Ashkinは2018年ノーベル物理学賞を受賞した。


バナースペース

DNAナノテクノロジーグループ
京都大学大学院理学研究科
物質―細胞統合システム拠点

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京都市左京区吉田牛ノ宮町