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液相プロセスによる多孔性非晶質固体の構造制御と分離媒体への応用

塊状(モノリス型)ゲルを用いたカラムの作製原理
Fig. 1 塊状(モノリス型)ゲルを用いたカラムの作製原理

 界面活性剤を含むシリカゾル−ゲル系において、界面活性剤ミセルを鋳型としてシリカが重合し、Fig. 1左のような棒状の構造を形成します。これは超分子鋳型法として知られており、ここから界面活性剤を除去することで、メソ孔と呼ばれる、nmオーダーの揃った細孔ができます。また、重合による相溶性の低下を利用した重合誘起相分離が起こると、マクロ孔と呼ばれる、マイクロメートルオーダーの細孔ができます(中)。これらの手法を組み合わせることで、SEM画像のような、界面活性剤ミセルの形状を反映した骨格構造ができます。本研究では、このような骨格構造をもつ塊状のゲルを作製し、構造の制御とHPLC(高速液体クロマトグラフィー)の分離媒体としての性能評価をしています。

ベンゼン、ニトロベンゼン、o-ニトロアニソールの分離に関するクロマトグラム
Fig. 2 (a)ベンゼン、(b)ニトロベンゼン、(c)o-ニトロアニソールの分離に関するクロマトグラム

 Fig. 2はクロマトグラムの一例です。HPLCのカラムとしては、粒子充填型のものが一般的です。粒子充填型カラムでは小さな粒子径のものを使う方が分離性能は高くなりますが、移動相の流路も狭くなるために、高い送液圧が必要となり、ポンプの性能や機械的強度の点で限界が生じます。一方、塊状のゲルは骨格のサイズと流路(マクロ孔)のサイズを独立して制御可能であるため、低圧での送液が可能であると同時にその細い骨格により同等以上の性能を示すことも可能と考えられます。

By Takanori Detani

論文(Review)

  1. Kazuki Nakanishi and Kazuyoshi Kanamori, J. Mater. Chem., 15, 3776-3786 (2005).     DOI:10.1039/B508415F
  2. Kazuki Nakanishi and Nobuo Tanaka, Acc. Chem. Res., 40, 863-873 (2007).     DOI:10.1021/ar600034p
  3. Kazuyoshi Kanamori and Kazuki Nakanishi, Chem. Soc. Rev., 40, 754-770 (2011).     DOI:10.1039/C0CS00068J

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Last-modified: 2013-01-19 (土) 14:46:53 (4134d)