研究内容の紹介 †無機固体物質は、それを構成する原子やイオンの配列の仕方によって、結晶質固体と非晶質固体(アモルファス固体)の2種類に大別されます。非晶質固体の原子やイオンの配列には、結晶質固体のような周期性や長距離秩序 (広い範囲での規則性)、並進対称性はみられませんが、その短距離構造には、結晶質固体との類似性が認められます。また、非晶質固体を“材料”としてとらえる場合、結晶質固体では組成成分比が一定であるのに対し、非晶質固体では成分比を連続的に動かすことができるため、その性質を広範囲に変化させることができます。さらに、非晶質固体をホスト材料として、その中に種々のゲスト成分を導入することで、特徴的な機能を発現させることができるなどの利点があります。 Figure: Al2O3の結晶(左)と非晶質(右)の二次元模式図
(W. H. Zachariasen, J. Am. Chem. Soc. 54, 3841 (1932)より) 無機物質化学分科では、結晶質固体と非晶質固体との間に存在する相違点と類似点を念頭に置きながら、結晶質および非晶質化合物を研究対象として、非平衡状態を利用した合成法による新規化合物の合成、合成した化合物のキャラクタリゼーション、マクロ特性の評価と解析、応用などの研究を行っています。近年は特に、ゾル−ゲル法などの液相重合法を利用した非晶質・結晶質多孔性物質の合成、細孔特性評価、クロマトグラフィー分離媒体や断熱材、電極材料などへの応用に関する研究を行っています。 現在のテーマ †過去のテーマ †
研究課題を通して、化合物を構成する原子やイオンの存在状態と物性との相関、合成プロセスと構造・物性との相関、機能発現のメカニズムを解明することにより、優れた機能を有する新規無機化合物(有機-無機ハイブリッドや有機高分子化合物も含む)の創製に対する設計指針の確立を目指しています。 |