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マシュマロゲルの構造制御と応用

 相分離を利用した液相合成で作製される多孔性材料は硬くて脆いものであるのがこれまでの常識でした。複数種類の有機アルコキシシランを用いた新しい合成法により、一軸方向への圧縮に対する弾性のみならず曲げも可能な柔軟多孔性ゲル(マシュマロゲル・早瀬が勝手に命名)の作製に成功しました。

マシュマロゲルの外観およびマクロ孔構造
Fig. 1 マシュマロゲルの外観および微細構造

 マシュマロゲルは試薬を混ぜてゲル化を待ち、洗って乾かすだけで誰にでも作製できます。形状は自由自在、数リットルのスケールからシート状まで作り出すことが可能です。

干しマシュマロ
Fig. 2 干しマシュマロ

 可聴域で従来素材よりも高い性能を示す吸音材や、超撥水性を生かした油/水分離媒体や固相抽出媒体、幅広い温度域で使える油吸収剤、低温での防振などの用途が考えられます。

浮きマシュマロ
Fig. 3 浮きマシュマロ

 合成に用いる有機アルコキシシランの種類を変えることにより、さまざまな機能をもたせたゲルを簡単に作製することが可能です。例えばビニル基を導入したマシュマロゲルに適切な処理を施すことで、n-ヘキサデカンや1,3,5-トリメチルベンゼンなど有機液体の上にも表面張力で浮くような、超撥油性の塊状ゲルを得ることができました。

論文

  1. Gen Hayase, Kazuyoshi Kanamori and Kazuki Nakanishi, J. Mater. Chem., 21, 17077-17079 (2011).     DOI:10.1039/C1JM13664J
  2. Gen Hayase, Kazuyoshi Kanamori, Masashi Fukuchi, Hironori Kaji and Kazuki Nakanishi, Angew. Chem., Int. Ed., 52, 7, 1986-1989 (2013).     DOI:10.1002/anie.201207969
  3. Gen Hayase, Kazuyoshi Kanamori, George Hasegawa, Ayaka Maeno, Hironori Kaji and Kazuki Nakanishi, Angew. Chem., Int. Ed., 52, 41, 10788–10791 (2013).     DOI:10.1002/anie.201304169

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Last-modified: 2015-02-26 (木) 02:11:55 (3366d)