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NMR で信号を検出するには。(FIDってどんなもの?)
NMR では、
核スピンからなる磁石(核磁化)
に注目し、その磁石からの信号を検出します。
その信号をFID(自由誘導減衰)と呼びます。
平衡状態(定常状態)では
核スピンからなる磁石(核磁化)
は、静磁場と同じ方向を向いてたままで、何の信号も出しません。
ところがエネルギーを与えて励起状態にすると、
核スピンからなる磁石は静磁場方向を回転の中心軸として回転を始めます。
磁石が回ると電磁波を発生するので、それをコイルで検出します。
こうして検出された信号がFID(自由誘導減衰)と言うわけです。
※アニメーションが止まったら、再読込をしてください。
物質中において実際には、磁石を構成する個々の核スピンは、各自の感じる局所的な磁場に応じた速度で回転します。
そのため、FIDは、さまざまな周波数で振動する
波形の重ね合わせ
となります。
局所的な磁場の違いは、周囲の環境(近傍の電子状態や他の核スピンの存在)の違い(*)に由来します。
つまりNMRでは、個々の核スピンの周囲の環境を知ることができ、そこから物質の構造解析をミクロな視点で行うことができます。
「周囲の環境(近傍の電子状態や他の核スピンの存在)の違い(*)」については、
以下の項目を参照してください。
化学シフト相互作用とは
双極子相互作用とは
スピン拡散とは
Last modified 1st April 1999 (not an April fool!) (文責: 市川真史)