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分子で遊ぶ

(本研究室で最近測定した、分子吸着系のSTM像をいくつか紹介します。)


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水クラスターにおける水素結合の量子ダイナミクス

水分子は、水素結合によって互いに結びつきます。液体の水においては、水素結合の絶え間ない組み替えに伴って、水素結合のネットワークにより水分子がゆるやかに結びついた3次元的な網目構造が、次々と形を変えながら生成・消滅を繰り返します。水分子の水素結合は、水溶液中の化学反応や、生体内における生命現象にも大きな影響を及ぼしていると考えられています。

当研究室の熊谷・奥山らは、金属表面上に単離した水分子二量体クラスターにおいて、水素結合の組み替えダイナミクスを実空間で直接観測することに成功しました。さらに、この水素結合の組み替えが、量子力学的なトンネル効果によって支配されている様子を明らかに......
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パイエルス転移の新しい仲間

パイエルス転移とは、金属における電子-格子相互作用によって、フェルミ面不安定性と格子の周期歪みが協奏的に発生する相転移である。もともとは、R. E. PeierlsSbBiなどの結晶に見られる低対称性の構造が安定化する機構として、有名な教科書Quantum Theory of Solids (1955)の中で提案したものである。1970年前後から、低次元性の強いフェルミ面を有する金属で相次いで発見され、研究されてきた。

これらの研究で、パイエルス転移は、電子-格子相互作用の強さをパラメータとして、その振る舞いを特徴づけられることがわかってきた。ごく単純に、強結合型、弱結合型の2種類に分類してしまうこともよくされる。

これに対して、従来のこのような分類法は「正しくない」ことが当研究室の研究により分かってきた.....
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スピン偏極電流への一里塚---巨大Rashba効果

半導体ヘテロ界面などの2次元電子系において、2次元面に垂直な方向に電位勾配を与えると、2次元面内を運動する自由電子に、波数ベクトルkに比例したスピン軌道相互作用が働きます。その結果、電子スピンは、2次元面の法線ベクトルと波数ベクトルkの両方に垂直な方向に量子化され、バンドが分裂します。ここで重要なことは、kの符号を反転すると電子スピンの向きも逆になるということです。これをRashba-Bychkov効果(あるいはRashba効果)と呼びます..... もっと読む...